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Dr.宮本の「愛犬家のための健康塾⑪」

Dr.宮本の「愛犬家のための健康塾⑪」

イヌの健康を守るには、飼い主による日頃からのチェックやケアが欠かせません。安田獣医科医院(東京都目黒区)の獣医師・宮本三郎先生が、誰でもすぐに実践できる「衣食住」の知恵や、健康チェックポイント、季節ごとの心構えを優しく伝授します。(Dr.宮本の「愛犬家のための健康塾⑩」からの続きです。

薬とワクチンの違い

ここで、「薬」と「ワクチン」の違いについて、ある点からお話したいと思います。
どちらも、病気による症状を和らげることができますが、投薬量(接種量)のとらえ方については大きな違いがあります。
人間の子供と大人では同じ「薬」でも必要な「量」が違うように、イヌの場合も個体の大きさ(体重)で服用量が決まってきます。
これは薬が体全体に行き渡り、効果を得るために必要な「薬物濃度」を保つためです。

一方、ワクチンの場合は年齢や体重に関わらず、量が決まっています。
そもそもワクチンとは、病原体の毒性を弱めた(あるいは無くした)物質です。
ワクチンを接種すると、体内で「病原体の情報」をキャッチする細胞が働き出します。
その細胞の働きにより、病原体から体を守る「抗体」が作り出されます。
これを「免疫応答」と呼びます。免疫応答に必要なワクチンの量は、体重に関わらず一定です。

時折飼い主さんから、「小型犬にはワクチン接種の量を少なくしてほしい」というご要望がありますが、上記の理由から、犬種や体重に応じてワクチンの量を少なくすることはできません。
期待した効果が得られない場合があるからです。

「薬」は症状を抑え、病気やケガを治療するためなのに対し、「ワクチン」は病原体の侵入を受ける前に、体内で「抗体」を作ることを目的にしています。
十分に「抗体」があれば、狂犬病やジステンパーなどの病原体が体内に侵入してきても、その働きにより愛犬の健康は守られるのです。

混合ワクチン接種はどうすればいい?

狂犬病には「狂犬病ウイルスに対するワクチン」があり、その他ウイルスなどの病原体ごとにワクチンがあります。
それ以外に一般的なのが、5種や8種といった「混合ワクチン」を接種するケースです。
成犬になると、これらを接種するかしないかを含め、飼い主である愛犬家の皆さんに判断が委ねられることが多いようです。

ご参考までに、世界小動物獣医師会(World Small Animal Veterinary Association, WSAVA)が定めたワクチン接種のガイドラインに沿ってご紹介します。

 

参考資料:

https://www.wsava.org/sites/default/files/WSAVA%20Vaccination%20Guidelines%20Japanese.pdf

 

このガイドラインはまず、世界的に重要な感染症に対する「コアワクチン」をすべてのイヌに接種すべきとし、その他環境や状況によって選択すべき「ノンコアワクチン」に分けています。

●コアワクチン3種…「ジステンパー」「犬アデノ」「犬パルボ」

●ノンコアワクチン…「レプトスピラ」「パラインフルエンザ」「ボルデテラ」など(日本では「狂犬病」は年に1回の接種を義務付け)

その上で、コアワクチンの接種プログラムを以下のように示しています。

●1回目…6~8週齢(生後2か月頃)

●2回目…1回目から2~4週後(生後3か月頃)

●3回目…16週齢以降に接種(生後4か月頃)

このようにして最初のワクチン接種プログラムを終えた後は、抗体ができたかどうか(必要な免疫力が獲得できたかどうか)を調べる「抗体検査」を行います。
検査の結果、抗体ができていれば、その1年後に再接種をし、免疫をより確実なものにします。
もし、検査で抗体不十分なら、主な選択肢は2つあります。
まず1つは、感染症のリスクがある犬に近づけない生活を送ること。
もう一つは、異なるメーカーのワクチンを再接種し、再度抗体検査をします。
これで免疫が獲得できれば、さらに1年後の再接種へと進めます。
2回目の抗体検査で抗体が確認できなかった場合、残念ながらその個体の体質として受け止め、上記のようにリスクのある犬との接触は避ける必要があります。

その後、成犬になってからは、3種のコアワクチンについては、「3年を超えて接種すれば十分」である、とも記されています(一部のノンコアワクチンは年に1回接種のものがある)。

Profile

安田獣医科医院 副院長 宮本 三郎 氏

麻布大学出身

目黒区自由が丘にある安田獣医科医院の勤務獣医師として、日々多くの患者さんの診療にあたっている。

一般診療プラスαを心がけた姿勢には、患者さんの信頼も厚い。
診療の傍ら、[わんちゃんも楽しめる焼肉店うしすけ]HPで獣医師コラムを執筆したり、休日にはトリミングスクールで獣医学などの講義を受け持つなど、活躍の場は広い。
趣味はペットショップ巡りと一人旅。

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